2024.08.26
歯列矯正が医療費控除の対象になる条件は?計算方法や注意点なども解説
歯列矯正を検討している方にとって、気になるのが治療費ではないでしょうか?一般的に、歯列矯正は治療費が40~80万くらいかかります。
しかし、医療費控除の対象になると、医療費を抑えることが可能です。この記事では、歯列矯正が医療費控除の対象になる条件のほか、注意点などについて解説します。
医療費控除とは
医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間の医療費が10万円以上の場合、税金の控除が受けられる制度のことです。医療費が控除の対象の金額になると、確定申告することで支払う税金の金額が軽減されます。
医療費控除に含まれる費用
医療費控除に含まれる費用は、以下の通りです。
- 診療費、検査費
- 矯正装置の費用
- 処置料、調整料
- 治療に必要な医薬品代
- 交通費
なお、対象となる交通費は公共交通機関を利用した場合の交通費のみで、車での通院にかかったガソリン代や駐車場代などは該当しません。
また、車やバスでの通院が難しい場合は、タクシー料金も医療費控除に含まれます。子どもの通院に付き添いが必要な場合、付添人の交通費も医療費控除に含めることが可能です。
医療費控除申請の流れ
医療費控除申請の流れは、主に3段階です。まず、医療費控除の明細書を作成します。明細書は、国税庁や税務署のホームページからダウンロードまたは印刷してください。
手書きでもオンラインで入力しても、どちらでも構いません。明細書を作成する際は、保管しておいた領収書や、健康保険組合から送られた「医療費のお知らせ」を参考にしてください。
次に、確定申告です。国税庁のホームページで確定申告書を作成したら、申請に必要な書類や明細書を提出します。管轄の税務署に直接持参するほか、郵送や電子申告(e-Tax)でも提出可能です。
申請に必要な書類は、以下の通りです。
- 確定申告書
- 源泉徴収票
- 矯正治療の領収書
- 通院交通費の領収書
- デンタルローンの契約書または明細書
- 歯科医の診断書
そして、書類に不備がなければ、およそ1ヶ月半後に還付金が振り込まれます。
医療費控除の計算方法
医療費控除の計算方法は、総所得の金額によって異なります。
総所得が200万以上の場合
その年の1月1日~12月31日に支払った医療費の合計金額―保険金などで補填される金額―10万=医療費控除額
総所得が200万未満の場合
その年の1月1日~12月31日に支払った医療費の合計金額―保険金などで補填される金額ー(総所得額×5%)=医療費控除額
総所得が200万以上の場合 | その年の1月1日~12月31日に支払った医療費の合計金額―保険金などで補填される金額―10万=医療費控除額 |
総所得が200万未満の場合 | その年の1月1日~12月31日に支払った医療費の合計金額―保険金などで補填される金額ー(総所得額×5%)=医療費控除額 |
ちなみに、保険金で補填される金額は、主に以下の通りです。
- 療養費
- 出産育児一時金
- 医療保険金
- 入院給付金
- 高額療養費
- 傷害費用保険金
医療費控除の条件
歯列矯正が医療費控除の対象として認められるには、次の2つの条件を満たす必要があります。
年間の医療費が10万円以上
1つめの条件は、年間の医療費が10万円以上であることです。医療費は1人分の医療費ではなく、生計を共にする家族の医療費すべてが該当します。例えば、父親に7万円、母親に4万円の医療費がかかった場合、医療費控除の対象となります。
ただし、年間の総所得が200万円未満の場合に限り、年間医療費が10万円以上でなくても、所得の5%を引いた金額が医療費控除の対象となるので、ご注意ください。
治療目的が機能性向上であること
2つめの条件は、機能性向上が目的の治療であることです。「歯の見た目を良くしたい」というように審美性を追求する治療の場合は、医療費控除の対象になりません。機能性向上が目的と認められるのは、主に以下のような場合です。
- 歯並びがデコボコで、食べカスが残りやすい状態
- 重度な出っ歯で、食べ物を噛み切るのも難しい
- 受け口や間咬(かいこう)で発音が不明瞭
- 重度なすきっ歯で、噛み合わせや虫歯が発生するリスクが高い
基本的に、子どもの歯列矯正は、医療費控除の対象となりやすいです。それは、幼少期の治療には「今後の成長を健全にする」という目的が含まれるからです。
治療を受ける時点では、機能面で問題がなくても、今後の成長に悪影響を及ぼす可能性が否めません。したがって、子どもの歯列矯正は、医療費控除の対象になる可能性が高いです。
医療費控除を利用する際のポイント
歯列矯正で医療費控除を申告する際は、以下の7点を頭に入れておく必要があります。
給与所得者も確定申告が必要
年末調整では医療費は控除されないため、サラリーマンでも確定申告する必要があります。確定申告をしないと、医療費は還付されないのでご注意ください。なお、確定申告には、確定申告書等の書類と源泉徴収票が必要です。
診断書が不要なケースもある
医療費控除を受ける際、必ず診断書が必要というわけではありません。税務署の担当者の判断によっては、診断書なしで申告できるケースもあります。もちろん、税務署から診断書の提出を求められることもあるので、予め税務署に確認しておくと安心です。
分割払いも対象になる可能性がある
歯列矯正には多額の費用がかかるため、デンタルローンやクレジットの分割払いにする人も少なくありません。分割払いも、医療費控除の対象となります。
万が一年をまたいで支払いを行ったときは、支払いがあった年に申告してください。例えば、2024年9月にデンタルローンを組んだ場合、2024年の医療費控除に含まれるのは「2024年12月末までの支払い分」です。手元に歯科医院の領収証がない場合は、医療費控除を申告する時の添付書類として、デンタルローンの契約書の写しなどを用意しておきましょう。
過去5年間分を申告できる
医療費控除は、過去5年前まで遡って申告することが可能です。何らかの理由により控除対象だったのに確定申告をしていない場合、2025年までは「更生の請求」をすることで、税金の還付が受けられます。
「更生の請求」とは、納税額が本来の金額より多かった場合、納税額を調整するための手続きのことです。
機能面の問題が潜んでいることがある
例えば、患者様が「見た目を改善したい」と思って「上顎の突出を改善したい」と受診したところ、前歯の突出が見られたというケースもあります。矯正歯科を受診することで機能面の問題が見つかり、医療費控除の対象となる可能性もあることを理解しておきましょう。
治療費の領収書を保管する
治療費の領収書は捨てずに、確定申告用に保管しておいてください。医療費控除の申告をする際、領収書は必要です。さらに、申告後も5年間は領収書を保管しなくてはいけません。領収書は再発行できないので、捨てないように注意しましょう。
所得税を多く納めている人が申請するとお得
より大きな節税効果を期待するなら、所得税を多く納めている人が医療費控除を申請するとよいでしょう。所得税は、年収が高いほど高率で課税されます。つまり、高収入の人が医療費控除を申請することで、控除額もそれだけ大きくなるのです。
まとめ
歯列矯正は治療期間が長くなりやすい分、治療費の負担も大きくなりがちです。医療費控除について正しく理解しておくことで、治療費の負担を軽減しましょう。
歯列矯正の治療を受ける方は、カウンセリングのときに医療費控除が適用される治療か確認するのも一つの方法です。
「ヨクシオファミリー歯科住道」では、実機のある経験豊かな専門医がカウンセリングを行い、患者様のお悩みやご要望などをゆっくりと聞かせていただきます。治療では歯の色に近い器具を使うため、目立たずに矯正治療が可能です。歯列矯正の治療内容や費用に不安がある方は、お気軽にご相談ください。