2024.10.10
MFTとは?トレーニングで得られるメリットと改善できる歯並びも紹介
根本的な歯並びの改善には矯正治療が効果的ということは広く知られていますが、MFTというトレーニングでも歯並びの改善が見られることはご存知でしょうか。
MFTとは口を動かして周辺の筋肉を鍛えつつ、正しい歯並びをサポートするためのトレーニングです。
劇的な効果はありませんが、続けることによって少しづつ効果が現れてきます。
本記事ではMFTの基本的な概要とMFTのメリットなどを詳しく説明しています。良い矯正治療を模索している人はぜひ記事内容をご確認ください。
MFTとは
MFT(Oral Myofunctional Therapy)とは、口腔筋機能療法とも呼ばれる歯科矯正のためのトレーニング方法のことを言います。
食べる時や飲む時、発音時や呼吸する時の舌や唇の位置の改善を目的としたトレーニングです。
MFTを継続しておこなうことによって口の周囲の筋肉バランスを整え、癖を修正することができます。
子どもの指しゃぶりや舌癖には大きな効果を発揮する治療法です。
MFTはマスターすればテレビを見ながらでもできるほど、シンプルなものです。
矯正治療のスムーズな進行と、矯正治療後の後戻りの防止のために、MFTを教えてくれる歯科医院で矯正治療を受けましょう。
正しい舌の位置
MFTの基本的な改善ポイントは舌の位置を正しい場所へ導くことにあります。
舌の位置を改善することによって、口腔内の状況を改善します。
正しい舌の位置は上顎です。下の先を前歯の付け根に安定させ、舌が上顎全谷接している感覚があれば正しく舌が位置している状態です。
いつも口が空いている、発音や滑舌が悪い、咀嚼音が気になるなどの癖がある場合、舌の位置が正しい位置より低い場所にある低位舌の可能性があります。
舌の位置が悪いことのリスク
舌の位置が低いと口を閉じた時に舌が軌道を塞いでしまいます。そのため、楽に呼吸をしようとして自然と口呼吸になってしまいます。
口呼吸は見た目が悪いだけでなく、乾燥による口腔内の環境悪化にも繋がるため注意が必要です。
虫歯や歯周病のリスクも高くなるでしょう。また、細菌やウイルスが侵入しやすくなるため、風邪を引きやすくなるかもしれません。
MFTのメリット
MFTを行うことで得られるメリットを4つ紹介します。
- 矯正治療のサポートになる
- 口呼吸の改善
- 睡眠の質が良くなる
- 顔全体の歪みが改善される
矯正治療のサポートになる
MFTを継続しておこなえば、口腔内の筋肉バランスが自然と整い、歯に自然な力がかかるようになります。
舌や顎の筋肉を正しく使うことによって歯が自然な形に収まりやすくなる仕組みです。
MFTトレーニングによる歯並びの調整は、矯正治療をおこなう際のより良いサポートとなるでしょう。
特に子どもの成長期におけるMFTトレーニングには効果的です。歯並びが悪くなることを予防し、治療効果の向上も期待できます。
口呼吸の改善
MFTは口呼吸から鼻呼吸へのスムーズな切り替えにも効果的です。
舌や口の周りの筋肉を鍛えることで正しい舌の位置をキープするのは、口呼吸にも良い影響をもたらします。
口呼吸による口腔内の乾燥は、感染症のリスクを招きかねません。鼻呼吸への切り替えは全身の健康にも良い影響をもたらすでしょう。
鼻呼吸は酸素の接種効率を良くして、体全体の機能をサポートしてくれます。
また、口呼吸の改善によって、アレルギー性鼻炎の症状が和らぐケースもあります。
睡眠の質が良くなる
口呼吸を改善すると睡眠時無呼吸症候群のリスクを抑えることができます。
口呼吸が改善されると、寝ている間の酸素吸入がスムーズになるため、深い睡眠を確保しやすくなります。
質の良い睡眠が取れていない人は、MFTによって睡眠が改善されるかもしれません。
睡眠の質が改善されれば、日中の疲労感や集中力の低下が改善されるでしょう。
また、質の良い睡眠は免疫機能の向上やホルモンバランスにも良い影響をもたらします。十分な睡眠をとることにょって、回復力が高まり、病気への抵抗力が増すというわけです。
睡眠の質が改善されれば、精神的にも良い影響をもたらし、ストレスの軽減にも繋がります。
顔全体の歪みが改善される
MFTは顔の筋肉全体を満遍なく鍛えるため、歪みのない顔立ちを維持できる効果があります。成長期の子どもは、正しい顔の筋肉の使い方を学ぶことによって綺麗な顔の成長が期待できます。
MFTは表情筋の動きをスムーズにするにも効果的です。顔全体の筋肉を鍛えるため、表情も豊かになります。
表情の豊かさは根本的なコミュニケーション能力にも良い影響をもたらすでしょう。
MFTの効果が見られる歯並び
MFTによって改善が見られる歯並びの症例を5つ紹介します。
- 乱杭歯
- オープンバイト
- ディープバイト
- 出っ歯
- 受け口
乱杭歯
乱杭歯は歯が重なり合って生えている状態のことを言います。顎のスペースが不足しており、新しい歯が生えるスペースがない場合に発生します。
MFTのトレーニングを行えば口の周囲の筋肉が正しく働くため、自然な力が歯に加わるようになります。結果として歯並びがよくなる、というわけです。
適切な筋肉がつけば歯が押し出されることがないため、長い間安定した歯並びを実現できます。
オープンバイト
オープンバイトは上下の前歯が噛み合わない状態のことをいいます。主な原因は指しゃぶりや舌癖です。
MFTを通じて正しい舌の位置へ矯正して悪い癖を改善できれば、オープンバイトを改善できるでしょう。
ディープバイト
ディープバイトは上の前歯が下の前歯をより深く覆っている状態です。下顎が十分に発達しない状況で起きる現象です。
MFTを行って下顎の成長を促すことができればディープバイトの症状は改善できるでしょう。
筋肉のバランスが整って顎の位置が正常化すると、噛み合わせが改善されるため咀嚼や発音の機能向上も望めます。
出っ歯
出っ歯は上の前歯が前方向に突き出ている状態のことを言います。出っ歯は舌の位置や口腔周囲の筋肉のバランスで発生する症状です。
MFTによって正しい舌の位置が習慣化されることで、上顎にかかる圧力が均等に分散されるようになり、次第に改善されていきます。
受け口
受け口とは出っ歯とは逆に、舌の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態のことを言います。元々の遺伝や舌の位置が問題で発生することが多い症状です。
MFTによって正しい舌の位置を維持することによって、下顎の成長をうまくセーブできるようになり、上顎とのバランスが保てるようになります。
普段から気をつけたい習慣
MFTは普段の習慣を改善することによって、効果を最大化できるようになります。
気をつけたい習慣や身につけたい習慣を6つピックアップしました。
- 口を閉じて鼻で息をする習慣をつける
- 口を閉じた状態の時は上下の歯を少し離す感覚を身につける
- 食事をする時は首を真っ直ぐにして口を閉じる
- 左右のバランスを意識しながら咀嚼する
- 真っ直ぐな姿勢を意識する
- うつ伏せに寝るのをやめて仰向けに寝る
歯にとって好ましくない癖がついていると矯正治療が思うように進まない、もしくは元に戻ってしまう可能性が高くなってしまいます。
一度ついた癖を治すのは簡単なことではありません。知らない間についた癖を少しでも改善するために、日頃から細かな習慣を身につけるようにしましょう。
まとめ
MFTは口周辺の筋肉のトレーニングによって歯並びをサポートします。また、正しい舌の位置の習得にも効果的です。歯並びのみならず口腔内の環境改善にも一定の効果が得られます。
矯正治療のようにダイナミックに歯を動かすことは出来ませんが、土台となる筋肉を鍛えることができるため、歯並びや口腔内の環境保全には効果的です。
矯正治療を検討している人はMFTも試してみてはいかがでしょうか。