2024.10.10
「ガミースマイル」とはどんな状態?気になる治療方法は?
ガミースマイルについて、ご存じですか?
お口を大きく開けて笑った時に歯茎が目立つ方は、ガミースマイルかもしれません。
ガミースマイルの特徴としては、「笑うと上の歯茎が3mm以上見える状態」があります。
虫歯や歯周病、不正咬合のようにお口のトラブルというものではありませんが、人によってはコンプレックスに感じてしまい、お口を開けて笑うことに抵抗感を覚えている方も少なくありません。
ガミースマイルの3つの原因
ガミースマイルになってしまう原因はいくつかあります。
いくつかの原因が重なっているケースもありますので、治療を行う前にはご自身のガミースマイルについて、原因を明確にする必要があるでしょう。
1.前歯の長さに問題がある場合
前歯が短かったり、歯茎が広く覆いかぶさっていたりすると、歯茎の面積が多くなってしまうため、自ずとガミースマイルになってしまいます。
小さなお子様がガミースマイルに見えやすいのは、永久歯に比べて乳歯が小さいことが関係しています。
2.唇の位置や形に問題がある場合
歯のサイズや歯茎の状態に問題がない場合、唇の形が要因となっているケースが考えられます。
例えば笑った時に上唇が大きく上がる人は、それだけで歯茎が目立ちガミースマイルになってしまいます。
3.歯の位置に問題がある場合
前歯が極端に下へさがってしまっている歯並びでは、歯茎が目立つようになります。
そのほかにも開咬や重度の上顎前突といった不正咬合がある場合も、ガミースマイルの傾向が高くなります。
ガミースマイルにも健康リスクがある?
「見た目が気になる以外に、ガミースマイルにはリスクがあるのか」という点は、治療を検討する方にとって大変重要なポイントです。
例えば虫歯や歯周病は放っておくと歯を失う原因になってしまいますし、歯並びの乱れは顎や全身へも負担をかけてしまいます。
では、ガミースマイルはどうでしょうか。
健康面の観点から、ガミースマイルのリスクについて考えていきましょう。
1.乾燥によるお口のトラブルを起こしやすい
ガミースマイルになっていると、歯茎が過剰に露出していることでお口の乾燥リスクが高くなってしまいます。
お口の中が乾燥すると、細菌が繁殖しやすくなってしまうため、虫歯や歯周病といったトラブルを招く可能性が高まるでしょう。
2.口腔ケアが十分にできない可能性がある
重度のガミースマイルでは、歯茎と歯の間に歯石やプラークがつきやすい傾向があります。しっかりブラッシングしているつもりでもいつの間にか汚れが溜まり、その部分から口腔内の環境が大きく乱れてしまうことも考えられます。
3.噛み合わせに問題があるケースも多い
ガミースマイルが気になるという方の中には、もともと歯並びが乱れているという人も多くいらっしゃいます。
歯並びが悪いと、しっかり噛むことができなかったり満足にケアができなかったりすることでお口全体の健康バランスが崩れてしまいます。
ガミースマイルを改善したい!気になる治療方法とは
前述のように、ガミースマイルにはいくつかの要因があるため、一つの治療で完治できるというものではありません。
歯科医院では主に以下3つの方法で治療を行っていきます。
軽度のガミースマイルは矯正治療による改善も期待できます
ガミースマイルを改善するための矯正治療では、歯科矯正用アンカースクリューという器具を用いて治療を行っていきます。
具体的には、歯茎の骨部分に歯科矯正用アンカースクリューを埋入して、ゴムやチェーンで歯を動かしていきます。
通常の矯正治療だけではなかなか動かない方向へもしっかり移動させられることが歯科矯正用アンカースクリューのメリットです。
歯の位置を正しく持ち上げ、調整していくことで、歯茎の過度な露出を軽減することが目的です。
ボトックス注射による美容治療も行います
歯科治療でのボトックス注射は、無毒化したボツリヌス菌を注射して唇を持ち上げる筋肉を緩める効果があります。
矯正治療のように長期間取り組んでいただく必要がないため、なるべく時間をかけずに治療を行いたいという方にもおすすめです。
歯を動かす痛みや出血といったリスクもないため、痛みに弱い方も無理なく治療を受けられるでしょう。
一方で、ボトックス注射の効果は半年程度で薄れてきますので、定期的に歯科医院で処置を行う必要があります。
唇周りの筋肉に異常がある場合は上唇粘膜切除術がおすすめです
上唇と小鼻を引き上げる働きを持つ筋肉が異常に発達していることが原因でガミースマイルになってしまう場合は、上唇粘膜切除術という外科処置がおすすめです。
上唇粘膜切除術とは、具体的には、唇の内側にある粘膜を切除することで歯茎の幅を調整する処置を言います。
ボトックス注射のように効果が切れる心配がなく、矯正治療よりも期間をかけずに気になるガミースマイルを解消できる方法として注目されています。
ガミースマイルの治療は保険適用?治療時の注意点
ガミースマイルの治療は、基本的に保険適用外の処置になってしまうことが一般的です。
理由としては、ガミースマイルを解消する=美容目的で処置を受ける、という背景があることから、保険診療の範囲内では治療が行えないとされています。
そのため、ガミースマイル改善のための治療を検討する際には、以下の点にご注意ください。
相談する歯科医院をきちんと見極めましょう
どのような治療も、歯科医師と患者様の信頼関係が大前提です。
まずは、歯科医院できちんとカウンセリングを受け、納得のいく説明を得られるかどうかをきちんと見極めてください。
一方的に治療方法を決められてしまっては、患者様の不安に繋がってしまいます。
どのような点でお困りなのか、治療後はどのようになりたいのか、どのような治療を望んでいるのか…。そういった部分をきちんと汲み取ってくれる歯科医院を選ぶようにしましょう。
カウンセリングでは費用面も明確にしておきましょう
矯正治療やインプラント、ホワイトニングといった保険適用外の歯科治療を受ける際には、必ず施術前にカウンセリングで費用についても確認することが大切です。
ガミースマイルの治療も同様に、どのような方法でいくらかかるのかをきちんと把握した上で、納得のいく内容かを確認してから治療を受けるようにしましょう。
ガミースマイルは遺伝する?気になる子どもの歯並びについて
ご自身がガミースマイルの場合、子どもにも遺伝するのではないかと心配される方がいらっしゃいます。
実際、歯並びは親から子へ遺伝するものの一つと言われています。
骨格の特徴や生活習慣によるものが大きいですが、歯茎の形状もある程度似通っていると言えるでしょう。
必ずしも遺伝だけが原因ではありませんが、気になる場合にはお子様と一緒に受診されてみてもいいかもしれません。
まとめ
ガミースマイルの特徴は、笑ったときの歯茎の露出が3mmを超えている場合と定義づけられています。
ガミースマイルは一つのチャームポイントという見方もありますが、「歯茎が目立つのが気になる」「口を開けて笑うのが恥ずかしい」など、コンプレックスと捉えている方も少なくありません。
ガミースマイル自体が何らかの疾患ということはありませんが、口腔環境が乱れやすいというリスクを含んでいるのもまた事実です。
審美的な観点から治療を検討されている方も、健康面を考えてガミースマイルを改善されたいと考えている方も、まずはご自身のガミースマイルの原因をきちんと把握した上で、納得のいく治療を受けられる歯科医院でカウンセリングを受けることから始めましょう。