2024.10.10
押さえつけた治療はNG?小児歯科の治療風景をご紹介!
令和の小児歯科って、どんな場所かご存じですか?
「子どもの歯を虫歯から守りたい!」
「虫歯になっている気がするから、早めに治療をしてあげたい」
「歯科医院デビューを考えているので、かかりつけの歯医者さんを探したい」
大切なお子様の歯を守るためには、小さな頃から歯科医院でお口のケアを行うことが大切です。
しかし、中にはこんな不安を持つ親御様も少なくありません。
☑️子どもが治療を怖がって泣いてしまったらどうしよう…
☑️押さえつけて治療をされたら、トラウマになってしまうのでは…
☑️歯科医院の先生に怒られないか不安…
そんな親御様のご不安を払拭するために、今回は「令和の歯科医院ってこんな場所!」という情報を解説していきます。
時代に伴い変化してきた「小児歯科」の治療風景
現代の小児歯科は、いわゆる「昔の歯医者さん」とは全く異なる場所といっても過言ではありません。
さまざまな技術の進歩はもちろん、歯科医院の在り方自体も大きく変わりました。
具体的にどのように変化してきたか、以下でお伝えします。
押さえつけた治療は基本的にNG!
☑️怖がって泣いてしまうお子様を、無理に押さえつけることはしません。
☑️治療を嫌がっているお子様に対して、急かすようなことは言いません。
☑️「身体抑制器具を使う」「大人が複数人がかりで体を押さえる」は基本NG!
☑️母子分離は「絶対条件」ではありません!
歯科医院に慣れていないお子様が怖がって泣いてしまうのも、見慣れない器具に恐怖心を覚えて治療から逃げ出そうとするのも、当たり前のことです。
そういったお子様の気持ちを無視して頭ごなしに治療を行うことは、現代の歯科医院ではナンセンスとされています。
身体抑制のネットなどを用意している歯科医院はありますが、そういった設備も本当に緊急性の高い場合以外には原則使用しません。
また、歯科医院によってはお子様の自立心を促すために親御様と離れて診療室に入ってもらう方針を掲げている場所もありますが、あくまでも歯科医院の方針であり、小児歯科が絶対にそうでなければならないという決まりはありません。
お子様の年齢に合わせたコミュニケーション
小児歯科では、お子様の年齢や発育に合わせたコミュニケーションが重視されています。
優しい声かけはもちろん、イラストなど視覚的にわかりやすい情報を用いてお口の状態をお話したり、治療を始める前に器具を見せて触れてもらったりする工夫も行われています。
初めは不安や緊張から涙が出てしまうお子様、親御様の抱っこから離れられないお子様も多くいらっしゃいますが、少しずつ「怖い場所じゃない」「怖い人じゃない」と思えるようになれば、それだけでも治療への第一歩です。
歯科医院によっては保育士がいる所も!
最近の歯科医院では、お子様対応の専門家である保育士が常駐している所も増えてきました。
親御様にとって保育士がいることは一つの安心感につながると思いますが、お子様にとっても、治療とは少し離れた場所に優しい大人がいることは、大きな安らぎと自信に繋がります。
☑️「保育士さんが、治療後に「がんばったね〜」「今日は泣かなかったね、すごいね」と声をかけてくれるので、子どもが笑顔でその日の受診を終えられます!」
☑️「待ち時間を保育士さんと遊びながら過ごせるので、子どもにとっても楽しい場所になっています。」
☑️「泣いてしまう子どもに対する接し方が「さすがプロ!」という感じで、毎回スムーズに診療台に促してくれて助かっています」
歯科業界自体の進歩により、痛みが少ない治療が可能
歯科医療の世界は、日々進歩を続けています。
昔は痛かった治療も、今では刺激を抑えて無理のない処置ができるようになりました。
例えば麻酔一つをとっても、今は歯茎に塗布する表面麻酔を使用したり、一定の圧で麻酔液を注入できる電動の麻酔器があったりします。
歯を削る機械も振動を抑えたものがあり、小さなお子様でも負担なく治療が行えるようになっています。
歯科医院=歯を削る場所、というイメージの払拭
昔は、歯科医院というと「虫歯ができて行く場所」という位置付けでしたが、今は多くの歯科医院が「予防歯科」という分野に力を入れています。
予防歯科では、歯を削ったり抜いたりする処置はなく、お口を虫歯や歯周病から守るための処置を行っています。
そのため、歯科医院=痛い治療をするというイメージは少しずつ払拭され、お子様の中には「歯医者さんは歯を綺麗にしてくれる場所!」という印象を抱いている方も増えていると言われています。
歯科医院が身近な場所になることで、もし治療が必要になった場合も抵抗感なく受診ができるというメリットがあります。
「押さえつけて治療をされた」という経験を持つ大人たち
歯科医院が怖いという気持ちは、お子様に限ったものではありません。
大人の中にも「過去に辛い治療を受けて、それ以来歯医者が怖くてたまらない」という方が多くいらっしゃいます。
幼い頃に受けた歯科治療へのトラウマが、大人になって我が子を歯科医院へ通わせることを躊躇させてしまっている、というお悩みを抱える親御様も少なくありません。
歯科医院=怖い場所、というイメージから抜け出せない
☑️昔痛かった治療がトラウマになってしまっている
☑️歯科医師の先生が怖かったイメージから、未だに受診すると不安になる
☑️小児歯科に子どもを連れていくのは可哀想だと感じてしまう
歯科医院に対して抱いているネガティブなイメージは、簡単に払拭できるものではありません。
歯科医師の中にも、自分自身が幼い頃に治療で怖い思いをしたという人がいます。
だからこそ、今の子どもたちが将来「歯医者は怖いから行きたくない」となってしまわないような歯科医院づくりが普及しているのかもしれません。
幼い頃のトラウマから、大人になっても歯科医院に行き渋ってしまう
☑️虫歯があるのは分かっているけれど、治療が怖いから放置している
☑️予防歯科の取り組みに消極的で、クリーニングに通う習慣がない
☑️治療途中の歯をそのままにしてしまっている
☑️欠損を放置してしまって、うまく噛めない状態のまま過ごしている
☑️歯科医院に対するイメージが昔のままで、今の情報を全く知らない
大人になっても歯科医院が苦手で、なかなか足が向かないという方の多くは、お口の中に問題を隠していることが多いです。
虫歯を放置している、歯周病に気づいていないなど、進行すると歯を失ってしまう病気を抱えている方も少なくありません。
過去のトラウマによって、将来的に健康な歯を残せないということは、あってはならないことです。
我が子を歯科医院に連れていくことに抵抗感を覚えてしまう
「子どもが歯医者で辛い思いをするのが心配…」
こうした理由から、なかなか小児歯科を受診できない親御様が、ご自身が過去に辛い治療を受けている可能性が高いと言われています。
「子どもが虫歯になっているから歯医者に連れて行かないといけない」と頭では分かっていても、不安な気持ちが払拭できずズルズルと先延ばしにして虫歯を進行させてしまう…という問題も、歯科医院に対するトラウマが根本にあるのです。
歯科医院を身近に感じることのメリット3つ
歯科医院に対する過去のトラウマや一昔前の治療に対するイメージを払拭し、お子様を歯科医院に連れていくことは、親御様にとってもお子様にとっても大きなメリットがあります。
「今の歯科医院は昔とは違う」ということを知っていただいた上で、ご家族で予防や治療に取り組んでいただけたらと思います。
最後に、改めて歯科医院に通うことのメリットを3点お伝えしていきます。
将来的にお口の健康を守ることにつながる
☑️虫歯になったらすぐに歯科医院で治療を受ける
☑️定期的にお口のクリーニングに通う
☑️成長に合わせて歯並びや噛み合わせのチェックを受ける
お子様が小さな頃から、こうした取り組みを当たり前のものとして生活に取り入れてあげることは、将来的なお口のトラブルリスクを軽減し、年齢を重ねても自分の歯でしっかり噛めるお口作りの土台となるでしょう。
予防の意識が高まり、デンタルIQの向上につながる
歯科医院が身近にあることで、お子様自身が歯の大切さを学び、自分でケアに取り組むことができるようになります。
日々のブラッシングや定期的なクリーニングの受診などの取り組みが「当たり前のもの」にしてあげることが、デンタルIQの向上、ひいては将来的なお口の健康に繋がっていくでしょう。
歯科医院に通うことが当たり前になり、家族全員のQOLが向上する
☑️メンテナンスの習慣がついたことで、結果的に家庭の医療費が軽減された
☑️デンタルIQが上がったことで食生活などさまざまな部分で健康意識が高まった
☑️歯科医院だけではなく、病院全体に対する苦手意識が軽減された
家族で通えるかかりつけの歯科医院を保つことは、家族のQOL向上に直結します。
まとめ
昭和世代や平成初期の世代にとって、歯科医院は少し怖い場所というイメージが定着しているかもしれません。その理由の一つとして、子ども時代に辛い治療を経験している、ということが挙げられます。
治療が怖くて泣いたら怒られた、押さえつけて治療を進められた、治療がすごく痛かった…そんな記憶から、大人になっても歯科医院に恐怖心を抱いていたり、我が子を歯科医院へ連れていくことに抵抗があったりする方は少なくありません。
しかし、現代の歯科医院はそういったネガティブなイメージが払拭され、小さなお子様でも笑顔で通える場所になりつつあります。無理な治療は行わず、お子様のペースや気持ちを尊重して処置を進めます。歯科医院は今、お子様自身が「歯医者さんに行きたい!」と言えるような場所になっているのです。