2024.11.30
歯が割れてしまったらどうする?放置のリスクから治療方法まで徹底解説!
外傷は、歯を失う原因の第三位と言われています
歯周病、虫歯に次いで、外傷は歯を失う原因の第三位ということをご存じない方は多いかもしれません。
歯が折れたり割れたりするトラブルには、歯茎から見えている部分が割れる歯冠破折と歯茎の中にある根っこの部分が割れてしまう歯根破折の2種類がありますが、転倒や怪我によって起こりやすいのは歯冠破折です。
今回は、もし歯冠破折が起こってしまった場合、どのようにしたらいいのかを紹介します。
スポーツ中の怪我によって歯が割れてしまったら
球技や格闘技など、ハードなスポーツをしていると、思いっきり顔をぶつけて歯が割れてしまったり折れてしまったりというトラブルが起こる場合があります。
野球ボールが顔にぶつかった、激しく転倒して顔をぶつけた、相手選手と激突したなど、さまざまな理由で歯を怪我してしまうことはよくあることです。
そういったトラブルがあった場合、まずは正しい応急処置をして、速やかに歯科医院で治療を受けることが大切です。
割れてしまった歯を乾燥させないようにしましょう
歯が割れて欠けてしまった場合は、欠片を保管するようにしてください。
欠けてしまった歯も、症状によっては接着できる可能性があるため捨ててはいけません。
保管する場合は、汚れを軽く落として乾燥しないようにしましょう。
唾液で濡れた状態でラップに包む、口の中に入れておく、生理食塩水に浸しておくなどの方法が効果的です。
お口の中を清潔に、ただし強くゆすぐのはNG!
スポーツ中の転倒や強打によって歯が割れてしまった場合は、まずお口の中を清潔に保つために軽くうがいをします。
お口の環境が悪化したまま放置すると、傷口から細菌が侵入してさらなるトラブルに繋がってしまうためです。
とはいえ、何度もうがいをしたり強く歯磨きをしたりすることは逆効果です。
また、傷の部分を手で触ったり押したりはしてはいけません。
自己判断はせず、その日のうちに歯科医院を受診しましょう
歯が折れたり割れたりした時は、一刻も早く治療を受けることが大切です。
速やかに歯科医院を受診して、適切な処置をするようにしましょう。
出血や痛みがないからといって放置していると、歯の傷は少しずつ広がってしまいます。
また、早めに処置ができればくっつけることができた傷も時間が経ってしまうことで修復できなくなってしまうケースもあるため、必ずその日のうちに治療を行うことが重要です。
割れた歯を放置することのリスク
割れた歯をそのままにしておくと、時間とともに症状が悪化してしまいます。
さらなる問題を引き起こす可能性がありますので、必ず治療を受けるようにしましょう。
割れた歯を放置することの主なリスクは、以下の通りです。
1.歯自体が脆くなり、きちんと噛めなくなる
ヒビが入っている歯でものを噛み続けると、当然亀裂はどんどん深くなっていきます。
気がつくと歯が欠けていた、大きく割れてしまったということに繋がってしまうでしょう。
また、割れた歯を庇うために他の歯に負担がかかってしまうと、健康な歯が摩耗してしまったり、片噛みで顎に負担がかかってしまったりと、さまざまなリスクが考えられます。
2.感染のリスクが高くなる
歯が割れている部分から内部にかけて細菌が侵入すると、激しい炎症や歯髄炎といった問題を引き起こすことがあります。
お口の感染症は、進行すると歯の根っこに膿が溜まって顎の骨や周囲の歯にも悪影響を及ぼしてしまいます。
また、口臭や歯茎の腫れを引き起こすなど、口腔環境全体を悪化させてしまうこともあるでしょう。
3.神経に影響を及ぼし、激しい痛みや歯の欠損を引き起こす
表面が少しだけ割れていると思って放置していると、ある時突然激しい痛みが起こることがあります。
これは、歯の内部に損傷が広がり、神経に影響を与えていることが原因です。
神経にまで傷が到達すると根管治療が必要になったり、歯を残すことが難しくなってしまったりと、患者様の負担が大きくなってしまいます。
歯が割れてしまった場合の治療方法
スポーツ中に歯をぶつけて割れてしまったというケースでは、症状の度合いによって治療方法が異なります。
どの歯が、どのように傷を負ってしまったのか、痛みの度合いや割れ方はどのような状態か、神経に影響は出ていないか、お口全体の健康状態には問題がないかなど、幅広い視点から歯科医師が治療方法を判断しますので、まずは早めに診察を受けることが大切です。
軽度の傷はレジンを用いての治療が可能
範囲が小さい傷は、基本的にレジンを用いて修復が可能です。
専用の接着剤で治療を行い、見た目にもそれほど目立たない状態にできます。
また、欠けた範囲がある程度大きくても、詰め物や被せ物で治療を行うことができるでしょう。
ただし、かけている部分が大きければ大きいほど詰めた部分が外れやすくなるため、注意が必要です。
歯根まで割れた場合は、抜歯の可能性も
歯が大きく割れて神経まで達すると、激しい痛みが起こることも考えられます。
また、治療までに時間がかかると、神経の感染リスクが高まり、歯を元に戻すことも難しくなるでしょう。
そういったケースでは、無理に歯を修復するのではなく、抜歯処置をしてインプラントやブリッジといった義歯治療を提案することもあります。
奥歯であれば隣接する歯と歯に橋渡しにするブリッジ治療、前歯の場合はインプラント治療を選択する方が多いです。
歯を残せるか残せないかは、割れ方にもよります
割れてしまった歯を接着して残すか抜歯するかは、傷の大きさだけでは決まりません。
例えば、上部が大きく割れて欠けてしまっても、被せ物治療を行うことで抜歯を防ぐことができるでしょう。
しかし、歯が縦に割れてしまっている場合、見た目には「少しヒビが入っているだけ」と思っても、歯を残すことは難しくなってしまうのです。
縦に割れた歯は、神経など歯の内部に感染を起こしてしまうなどさまざまなリスクが考えられます。
接着をしてもうまくくっつかないことも多いため、患者様の同意のもと、抜歯を行う歯科医院が多いです。
スポーツ中の怪我はマウスガードで予防しましょう
歯が折れてしまう原因として挙げられるのは交通事故、転倒が多いとされていますが、次点でスポーツ中の外傷があります。
特に体を激しく動かすスポーツやボールを用いるスポーツでは、相手にぶつかったり顔を強打したりと、さまざまな理由からお口の怪我が多いと言われています。
こうした怪我のリスクを軽減するために注目されているのが、スポーツ用のマウスガードです。
マウスガードの使用がおすすめのスポーツ
歯や歯茎に衝撃が加わる可能性があるスポーツを行う場合には、スポーツ用のマウスガード着用が義務付けられています。
例えばボクシングやキックボクシングなどの格闘技をはじめ、アメリカンフットボール、アイスホッケー、ラグビーのような体をぶつけ合うスポーツ選手がマウスガードをつけている姿を見たことがあるのではないでしょうか。
上記で挙げた以外にも、野球やサッカー、バスケットボールなど、ハードなスポーツを行う場合にはマウスガードの着用がおすすめです。
スポーツ用マウスガード使用時の注意点
スポーツ用のマウスガードは、しっかりと噛み締めるため、劣化しやすい傾向があります。
お口にフィットしなくなったり、破損が見られたりする場合には、すぐに歯科医院で修理や調整を行うようにしましょう。
また、マウスガードをつけたままスポーツドリンクを飲む方もいらっしゃいますが、虫歯のリスクがとても高くなってしまうので、注意が必要です。
慣れるまで少し面倒に思うかもしれませんが、水分補給をする際は毎回マウスガードを外しすか、お茶やミネラルウォーターを飲むようにすることが大切です。
まとめ
歯が割れてしまう、折れてしまうという外傷は、誰にでも起こりうるトラブルです。
特にスポーツをしている人にとっては、意外と身近な怪我の一つかもしれません。
中には「少しくらい割れていても…」と放置してしまっている方も少なくないでしょう。
しかし、歯の亀裂や欠けは、放置していると歯そのものの寿命を縮めてしまうだけではなく、お口全体のトラブルを引き起こしてしまう可能性もあります。
まずは歯科医院でしっかりと治療を行い、歯を怪我から守る方法を知るようにしましょう。
近年では、さまざまなスポーツの世界で専用のマウスガードも注目されてきています。
こうした予防方法を知ることで、将来的にも健康なお口を守っていただけたら幸いです。