2024.11.29
歯がしみる、歯ブラシが引っかかる…セルフケアから知る、虫歯の進行速度
虫歯はどのように、どの速度で進行する?
しっかり歯磨きをしているつもりでも、気がつくと小さな虫歯ができてしまった、という経験がある方は少なくないでしょう。
虫歯は、お口の中に棲むミュータンス菌という細菌、食べ物に含まれる糖質、そしてその人の歯の質という3つの要素で起こります。
また、初期の虫歯はなかなか自分で気づくことができないため、ある日突然歯が痛くなった、というお悩みも多く見られます。
まずは虫歯の進行度合いについて、見ていきましょう。
虫歯の進行度合いには4つの段階があります
虫歯は、細菌に感染して一気に痛みが出るような病気ではありません。
徐々に進行して、歯を溶かしてしまうのです。
虫歯は主に4つの段階で進行し、症状が進むにつれて痛みや治療の負担、歯を失うリスクが大きくなっていきます。
初期の虫歯「C0」
「C0」と言われる段階は、初期虫歯です。
歯に穴が開くほどのものではなく、歯の表面のエナメル質が白く濁っていたり、ツヤがなくなったりする程度なので、自分で気づかないことがほとんどです。
この段階の虫歯は、削ったり抜いたりという治療は必要ありません。
歯を再石灰化するために、こまめなブラッシングやフッ素塗布を行うことである程度の修復が可能です。
虫歯の始まり「C1」
歯の表面であるエナメル質に小さな穴が空いたり、黒ずんでいたりすると、本格的に虫歯の治療が必要になってきます。
とはいえ、気にして見ないと気づかなかったり、歯と歯の隙間にできていて自覚がないという方も多い状態です。
痛みよりも「歯が変色している」という点で気がつく方も多いようです。
治療は基本的に、小さく削ってプラスチックで埋めるという方法が用いられます。
まだ神経に達していない虫歯は強い痛みを引き起こすことがないので、麻酔は使用せず、短時間で処置が終わることがほとんどです。
痛みが出てくる「C2」
「C2」の虫歯は、エナメル質を貫通して内部の象牙質にまで進行している状態を指します。
見た目にも黒く穴が空いていて、いわゆる「虫歯の状態」がこの段階です。
進行度合いによっては麻酔を使用して歯を削っていく治療が行われます。
進行している分、「C1」の段階よりも削る範囲が大きくなります。
神経まで達した深刻な虫歯「C3」
「C3」まで進行すると、虫歯は神経に達します。
表面から見他だけではわからないことも多く、「C2」程度の虫歯だと思って治療を受けたら実は内部が侵食されていたというケースも少なくありません。
治療では、麻酔を使用して歯を大きく削る必要があります。
また、虫歯菌によって健康が阻害された神経を取る処置も必要です。
複雑で時間のかかる治療になってしまうので、患者様の負担も大きくなるでしょう。
歯根まで達した虫歯「C4」
虫歯が最後まで進行した状態を「C4」と言います。
この段階では、歯茎から上の歯がほとんどなくなっており、痛みを感じなくなってしまっています。
歯を修復する治療は困難なため、抜歯してインプラントやブリッジといった治療が必要になります。
痛みがないからと放置してしまうと、残されている神経に膿が溜まるなどのトラブルで全身の健康に害をなす可能性があるため、必ず治療を行うようにしましょう。
お口の違和感から知る、進行度合いのサイン
上記のように、虫歯は進行度合いによって必要な治療が異なります。
初期の段階であれば毎日のブラッシングである程度回復できますが、進行してしまうと神経を取ったり歯を抜いたりしなくてはなりません。
また、虫歯は進行度合いによって症状や痛みの出方が異なるため、普段のケアや生活の中で感じた「あれ?」という違和感は進行のサインかもしれません。
歯科医院で虫歯チェックを受けたら、自分の虫歯の正しい段階を知ることができますので、気になる症状があったらまずは受診するようにしましょう。
初期の虫歯では、変色が気になる程度です
治療を必要としない初期の段階では、痛みを覚えることはほとんどないでしょう。
歯に気を遣っている人であれば「どんなにブラッシングをしても歯が濁っているような気がする」という違和感を覚えるかもしれません。
歯の表面が溶けかけている状態なので、再石灰化で健康な状態に戻すことができます。
普段使っている歯磨き粉をフッ素配合のものに変えるなど、工夫をしてみましょう。
エナメル質の虫歯は、小さな穴が見つかるかもしれません
歯の隙間や奥歯は見ただけではあまり気付けないですが、前歯など目で見てわかりやすい部分であれば「なんだか黒い穴が空いている」と気付けるかもしれません。
歯の表面が小さく削れている状態なので、歯間ブラシやデンタルフロスと通した時に引っ掛かりを感じることもあります。
とはいえ、強い痛みはほとんどないので、放置しがちな人も多いでしょう。
「フロスがうまくできない」は虫歯のサインと思って早めに受診することをおすすめします。
象牙質の虫歯になると、冷たいものがしみます
多くの方がイメージする虫歯が、象牙質の虫歯です。
見た目にも黒ずみ、穴が空いています。
また、冷たいものがしみる、甘いものがしみる、歯磨きをすると痛いなど、痛みが顕著に現れるようになります。
この段階で治療を行うことが、歯を残すためにとても重要です。
抜歯のリスクを回避して詰め物や被せ物の処置で済ますためにも、しみたり痛みがあったりした場合には必ず受診しましょう。
神経に達した虫歯は、何もしなくても痛い!
虫歯が象牙質を越えて神経まで進むと、何もしていない時でもズキズキと痛むようになります。
大きな穴が空いているケースもあれば、表面はそれほど侵食されないまま内部で進行しているケースもあります。
症状としては、冷たいものより熱いものがしみる、お口全体が疼くように痛い、歯が浮いたような感じがするなどがあり、ほとんどの人は日常生活に支障をきたすでしょう。
痛み止めを飲まないと眠れない、食事ができない、歯磨きができないなどの問題が生じてしまうため、すぐに歯科医院で治療を受けるようにしましょう。
歯根まで達した虫歯は、歯がなくなってしまいます
虫歯の激痛は、ある日突然なくなります。
これは、神経が虫歯によって壊され、痛みを感じなくなってしまうためです。
「もう痛くないから治った」ということは絶対にありません。
神経が機能しないレベルの虫歯になると、歯が大きく欠けていたり歯茎から見えている部分がほとんどなくなったりしているでしょう。
歯が割れていてしっかり噛めない、時々歯茎が腫れる、口臭が気になるなどの問題も出てきます。
虫歯の進行スピードは意外と早い?
虫歯の進行スピードは、普段の習慣やお口の環境によって個人差があります。
○ヶ月でどこまで進行する、という明確な数字はありません。
甘いものを食べる習慣がある、間食が多い、フロスや歯間ブラシを使わない、歯並びが乱れているという方は虫歯進行のリスクが高いため注意しましょう。
重度になればなるほど、進行速度が上がります
虫歯は、重度であればあるほど進行速度が早くなります。
例えば、エナメル質の虫歯が象牙質に達するまでは数ヶ月かかるとして、そこから神経に達するのに時間はかかりません。
虫歯が神経に達すると、あっという間に歯が崩れてしまうこともあるでしょう。
だからこそ小さな違和感のうちに治療を行うことが大切なのです。
乳歯は永久歯より進行速度が早いので注意しましょう
お子様の歯は、大人の歯よりも柔らかく小さいため、虫歯の進行も早いとされています。
また、乳歯だからと放置してしまうと、将来生えてくる永久歯も虫歯になりやすくなってしまいます。
お子様が痛い思いをしないよう、定期的にお口のチェックやフッ素塗布で虫歯を予防してあげるようにしたいですね。
セルフケア中に感じた違和感は無視しないで!
歯磨きをしている中での違和感は、虫歯のサインだと思って早めに歯科医院で検査をすることが大切です。自分の歯を長持ちさせるためには、早期発見・早期治療が重要です。
「痛くないから」と放置せず、早い段階で治療を開始するようにしましょう。進行する前に治療をすることで、治療の負担や費用、期間も抑えることができるでしょう。
まとめ
多くの方が虫歯に気づくタイミングは、歯が痛くなってからだと言われています。
しかし、その前段階として「歯磨きをしていると歯ブラシが引っかかるような気がする」「うがいをする際に水やお湯が歯にしみるような時がある」など、小さな違和感を覚えることはないでしょうか。
こうした違和感は、虫歯が少しずつ進行しているサインでもあります。
初期の虫歯はしっかりとブラッシングをして歯科医院でフッ素塗布を行うことができれば、ある程度の進行速度を抑えることができます。しかし、中等度〜重症になってくると、さまざまな問題が生じてしまいます。
「歯が痛くて歯ブラシもままならない」というようなことにならないためも、初期の段階で虫歯治療を進めていくようにしましょう。