2024.07.02
口腔金属アレルギーの症状とは?原因や対処法を解説
口内炎やかゆみ、舌の腫れ、金属的な味覚異常、または手や足の水ぶくれやかゆみが治らず悩んでいませんか?それらの原因には「歯科金属アレルギー」が関係しているかもしれません。
アレルギー反応が出るのはネックレスやピアスだけでなく、歯の治療に使われた銀歯、入れ歯の土台やバネ、差し歯の土台(コア)などの金属が原因になるケースもあります。本記事では、歯科金属アレルギーの症状、原因、対処法などを解説していきます。
口腔内の歯科金属アレルギーの症状とは?
口腔内の金属アレルギーの症状は、以下の通りです。
- 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
※手のひらや足の裏に水ぶくれができてかゆみが出る病気です。良くなったり悪くなったりを繰り返します。
- アトピー性皮膚炎
※皮膚が乾燥し、かゆみや赤み、ひび割れ、腫れ、または水ぶくれなどの症状が出ます。
- 全身の不快感
※頭痛、肩こり、倦怠感、関節の痛みなど。
- 口内のかゆみや痛み
- 口内炎
- 口唇炎
- 舌炎
- 歯茎の炎症
- 味覚異常
金属アレルギーは、口の中よりも全身に症状を引き起こすことの方が多いようです。さらに、金属を入れてすぐに症状が出るとは限らず、数年後に現れることもあります。
口腔内で金属アレルギーが起こるメカニズムとは?
口の中で金属アレルギーが起こる主な原因は、銀歯の詰め物や被せ物などの金属によるものです。
金属アレルギーが起こる理由は、口の中の唾液によって金属が溶けるためです。金属は水分がある環境で溶け出す性質があります。唾液には水分が含まれているため、銀歯などの歯科用金属は長期間にわたって唾液にさらされることになります。そのため、口の中で金属が少しずつ溶け出し、体内に取り込まれてしまうというわけです。
金属が体内に蓄積され、一定量を超えると、人によってはさまざまな場所でアレルギー症状が起こることがあります。
歯科治療でアレルギーの原因になる金属とは?
歯科治療で使用される金属には、金、銀、銅、白金(プラチナ)、亜鉛、水銀、ニッケル、コバルト、スズ、パラジウム、クロム、チタンなどがあり、2種類以上の金属を混ぜたものが「合金」です。
歯科治療でアレルギーの原因となる主な金属は、以下の通りです。
金銀パラジウム合金
保険でつくられた銀歯は、詰め物や被せ物、入れ歯のバネにも使われます。銀だけでなく、金、銅、その他さまざまな金属が含まれています。金属アレルギー検査で約半数の人に陽性反応が出る金属といわれ、使用禁止する国もあります。
銀合金
差し歯の土台(メタルコア)、詰め物、被せ物に使われます。主に銀、銅、亜鉛が混合され、一部には微量のニッケルが含まれています。
コバルトクロム合金
入れ歯の土台やバネに使用されます。コバルトとクロムが主成分で、一部にはニッケルが含まれています。
アマルガム
現在はほとんど使用されませんが、詰め物に水銀が含まれていました。水銀を50%含み、少量のスズや銅、亜鉛などが混合されており、健康リスクの面から使用禁止する国もあります。
中高年の患者様の中には、かつて治療を受けた部位に、この材料が含まれている可能性もあるので注意してください。
歯科金属アレルギーになった場合の対処法とは?
口腔金属アレルギーが確認されたら、口腔内にある金属素材をすべて取り除きます。その後は金属を使用しないメタルフリー治療や代替材料を検討してください。たとえば、セラミックやジルコニア、プラスチック(コンポジットレジン)といったメタルフリーの素材が最適です。
ただし、金属アレルギーを引き起こす金属を取り除いても、すぐに症状が治まるわけではありません。完全に治るまでには数ヶ月かかるので、定期的に歯科医院を受診する必要があります。
メタルフリー治療のメリットは?金属とセラミックの違いを比較
メタルフリー治療とは金属製品を使用せず、金属フリーの材料を用いて行われる歯科治療のことです。金属フリーの材料には、セラミックやプラスチック(コンポジットレジン)などが含まれます。
当院としては天然歯に近く、審美的や機能的にも優れているセラミックをおすすめしています。アレルギー反応のリスクを軽減し、身体に馴染みやすいので安心です。
金属製とセラミック製の歯の違いは、以下の通りです。
特性 | 金属製 | セラミック製 |
審美性 | 目立ちやすい | 自然な見た目で美しい |
耐久性 | 強いが経年劣化しやすい | 強くて経年劣化が少ない |
金属
アレルギー反応 |
引き起こす可能性あり | リスクは低い |
保険 | 保険適用 | 自費診療 |
清掃性 | 歯垢がつきやすい | 表面が滑らかで清掃しやすい |
むし歯のリスク | 金属部分の周りに
むし歯ができやすい |
天然歯と同様のリスク |
長年使っている銀の詰め物は、歯との間に隙間ができやすく、そこから二次う蝕(虫歯)などのトラブルが起こることもあるので注意が必要です。
歯科金属アレルギーの可能性がある場合、最初に何をすべき?
口腔金属アレルギーの症状や異変に気づいたら、以下のステップを踏むことが大切です。
①歯科医に相談する
症状や不快感があれば、まずは歯科医に相談します。歯科医は口腔金属アレルギーの可能性を評価し、適切な診断や治療法を提案します。
②アレルギー検査を受ける
歯科医の指示に従い、提携する皮膚科医院(大学病院も含む)での「パッチテスト」を受けてください。パッチテストが難しい場合は、血液検査で代用することもあります。
③金属の除去
パッチテストで陽性反応があれば、金属を取り除きます。(同意が得られた場合のみ)
④仮歯で経過観察
口腔金属アレルギーの症状や影響を定期的に経過観察します。症状が現れたら、早めに歯科医に連絡してください。
⑤メタルフリー治療や代替材料の検討
口腔金属アレルギーが確認されたら、金属を使用しないメタルフリー治療や代替材料を検討します。金属フリーの治療法は、アレルギー反応を軽減するための有効な方法の一つです。
まとめ
歯科治療における金属アレルギーの症状は、口内よりもむしろ口以外の部分に症状が出ることが多く、一見すると歯とは関係なさそうな場所で現れやすいため、気づきにくいことがあります。
皮膚科で治療しても改善しない湿疹などの症状があれば、歯科金属アレルギーを疑ってみてください。まずは歯科医に相談し、皮膚科や大学病院でアレルギー検査を受けることを検討しましょう。
もし検査結果が陽性であれば、口内に使用されている銀歯や銀の詰め物、被せ物などの金属を取り除き、代わりにセラミックやプラスチック(コンポジットレジン)などの金属フリー素材に交換することで症状が改善される可能性があります。
金属アレルギーに関するお悩みやセラミック治療について詳細を知りたい方は、ヨクシオファミリー歯科住道にいつでもご相談ください。また、金属を非金属に置き換える治療に興味がある方には、以下のコラムも参考にしてみてください。
内部リンク:昔の銀歯はセラミックへ交換すべき?セラミックの詰め物や被せ物のメリットを紹介